「うちの会社、ChatGPTで聞かれたときに出てくるのだろうか」
そう思って調べ始めると、多くの方が最初に出会うのが次の4つの略語です。
GEO。AEO。LLMO。AIO。
……4つあります。しかもどれもアルファベットの略語です。どれも「AI検索で選ばれるための対策」だとWebサイトに書かれています。では結局、どれを学べばよいのでしょうか。
結論からお伝えすると、学ぶべき言葉は「GEO」です。
理由は、4つのうち大学の研究者が論文として発表した言葉がGEOだけだからです。残りの3つは、ある個人が考案したと名乗っているもの、海外の一部で使われている言葉が日本国内で広まったもの、そして誰が言い出したのか記録が見つからないものです。
そしてもう一つ、重要な事実があります。実践すべき内容は、4つともほとんど同じです。 ですので、用語選びに悩む時間は、ほぼそのまま節約できます。
順番に解説していきます。
そもそも、なんで急にこんな言葉が増えたのか?
ここ数年で、検索結果の一番上にAIの回答文が表示されるようになりました。ChatGPTやGeminiに直接「〇〇でおすすめの業者は?」と聞く人も増えています。
このとき、AIは何十件もリンクを並べません。数件を選んで、チャットの中で紹介します。
つまり「AIが答えを書くとき、そのチャットの中に自分の会社が登場するか」という、今までなかった競争が生まれました。この動きを追い風に対策技術へ言葉を付ける流れが、2023年ごろから世界中で同時多発的に起こりました。同時多発だったために、言葉が4つできてしまったのです。これが今の混乱の正体といえます。
GEO:学術論文で提案され、査読を経た言葉
GEO(Generative Engine Optimization=生成エンジン最適化)
この言葉は、2023年11月16日にarXiv(アーカイブ。世界中の研究者が論文を公開するWebサイト)に投稿された論文で提案されました。
執筆したのはプリンストン大学やインド工科大学デリー校などの研究者チームです。この論文はその後、2024年のACM SIGKDDという学会で正式に発表されています。データ分析分野では最上位クラスの国際会議です。
ここで重要なのが査読という仕組みです。論文を掲載する前に、その分野の別の専門家が内容を確認し、公開に値すると認めるプロセスのことです。つまりGEOは、提案者本人以外の目が入った状態で世に出た言葉ということになります。
論文の中では、生成AIが情報の主な入口になりつつある一方で、SEOはそのままでは通用しない、新しい手法が必要だという趣旨が述べられています。
GEOは出どころが明確で、安心して使える言葉です。
そして、注目したいのはここからです。
AEO:英国のあるSEOコンサルタントが考案した言葉
AEO(Answer Engine Optimization=回答エンジン最適化)
※英語表記・日本語訳は媒体によって表記が異なり、統一された定義があるわけではありません。
この言葉については、英国のあるSEOコンサルタントが、2018年に自身が考案したと公表しています。
ただ、調べていくと気になる点があります。
この主張の情報源は、すべて本人が運営しているWebサイトです。 2018年当時に第三者がこの言葉を使っていた記録、たとえば他のメディアの記事やアーカイブは、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
さらに、本人の運営Webサイトの中で、考案年が「2017年」と書かれている記事と「2018年」と書かれている記事が混在しています。
自身が考案した言葉の誕生年が、運営Webサイトの中で一致していないことになります。
もちろん、単なる記載ミスの可能性もあります。ここで特定の個人を批判する意図はないため、名前は伏せます。ただ、裏付けの強さという観点で見ると、本人の申告以外に確認する方法がないというのは、事実として押さえておきたい点です。
LLMO:日本で広く使われているが、海外での使用例は少ない言葉
LLMO(Large Language Model Optimization=大規模言語モデル最適化)
※英語表記・日本語訳は媒体によって表記が異なり、統一された定義があるわけではありません。
日本で今もっとも見かける言葉は、おそらくこのLLMOです。しかし、この言葉は主に日本でのみ使用されています。
日本経済新聞が2025年9月の記事で、こう報じています。AI検索最適化を表す用語は、日本独自の「LLMO」、アメリカでは「AEO」「GEO」と。
つまり、LLMOは日本でだけ定着した呼び方ということになります。
言葉自体の出どころは海外にあります。2023年10月、ドイツのコンサルタントがSearch Engine Land(検索業界の独立系メディア)に寄稿した記事が、確認できた中で最も早い使用例でした。GEOの論文(2023年11月)とほぼ同時期です。
日本でここまで広まった背景には、国内のある企業が書籍・診断サービス・専門メディアを揃えて集中的に発信したという事情が大きく関わっています。新しく言葉を作ったというより、無名だった言葉を日本市場で定着させたという方が実態に近いでしょう。マーケティング戦略としては、優れた成功例といえます。
実務上、気をつけておきたい点が一つあります。海外の最新事例を調べようとして「LLMO」で検索すると、ほとんど情報が出てきません。 日本以外の情報を探す際は、「GEO」で検索することをおすすめします。
AIO:定義が統一されていない言葉
AIO(AI Optimization)
※英語表記・日本語訳は媒体によって表記が異なり、統一された定義があるわけではありません。
最後に、この言葉について解説します。
この言葉は出どころが明確ではありません。特定の人物が言い出したという記録は見つかりませんでした。
しかも、定義が2つ存在しています。「GoogleのAI回答欄だけを狙う施策」という狭い意味で使われる場合と、「GEO・AEO・LLMOをまとめた総称」という広い意味で使われる場合があり、業界内でも用法が統一されていません。
参考までに、Wikipediaでも "Artificial intelligence optimization" は独立した記事を持たず、GEOのページに統合されています。確立した一つの概念としては、まだ扱われていないということです。
GEO・AEO・LLMO・AIOの違いを一覧表で比較
| 用語 | 出どころ | 裏付けの強さ | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| GEO | 2023年の学術論文(KDD2024で発表) | 高い(査読あり) | 出どころを確認できる言葉 |
| AEO | 個人の自己申告(年が本人Webサイト内で不一致) | 低い | 本人以外に確認する方法がない |
| LLMO | 2023年10月・独立系メディアへの寄稿が初出 | 中くらい | 日本でだけ広まった呼び方 |
| AIO | 不明 | なし | 定義が2種類ある |
実践すべき対策は、4つともほぼ共通しています
ここまで読んで、「GEOを学べばよいのか」と思われたかもしれません。
実は、ここでお伝えしたい発見があります。4つとも、実際に取り組む内容はほとんど重なっているのです。
- 質問と答えの形式で、明確に書く
- 数字や出典を示し、根拠を明らかにする
- 発信者情報(会社名・所在地・実績)を明示する
- AIが読み取りやすい構成にする
言葉が4つに分かれているだけで、取り組むべき作業リストはほぼ一つということになります。
ですので、学ぶ言葉は世界に通用するGEOだけで十分です。 残りの時間は、ご自身のWebサイトそのものの改善に使うほうが、より効果的です。
dotbinaryが「GEO」という言葉を選ぶ理由
私たちは、自社の診断サービス名に「GEO」を採用しています。基準は2つです。
①学術的な裏付けがあるか。②実際に本場でも使われているか。
この両方を満たす言葉はGEOだけでした。学術的な根拠がどこにあるかを明示できることは、私たちにとって重要な判断基準です。
もちろん、お客さまが「LLMO対策をしたい」とおっしゃる場合は、私たちもLLMOという言葉でお話しします。専門用語は、お客さまの事業のお話に翻訳するための道具であり、正しさを競うためのものではないと考えているためです。
自社Webサイトの現在地を15分で確認する方法
自社Webサイトが今、AIからどのように見えているかを正確に把握し、改善までやり切るのは簡単ではありません。ただ、その現在地を知ることだけであれば、ご自身でも確認できる方法があります。今日15分でお試しいただける3つをご紹介します。
① AIに自社名を聞いてみる
ChatGPTなどに「株式会社〇〇(貴社名)について教えて」と入力してみてください。何も出てこないのか、出てくるが内容が古い・誤っているのか。この2つは原因も対処法も異なります。
② 「地域名+業種+おすすめ」で聞いてみる
「〇〇市 工務店 おすすめ」のように尋ねてみてください。ここで挙がる数社が、現在のAIにとってその地域の代表格です。自社が含まれているかをご確認ください。
③ 会社の基本情報が「文字」で書かれているか確認する
会社名・所在地・電話番号・代表者名・事業内容。これらが画像やロゴの中にしか含まれていない場合、AIには読み取られにくくなります。ページを開き、マウスでその部分をドラッグしてみてください。選択できない場合は画像です。 意外と多いパターンです。
①と②のスクリーンショットは、日付が分かる形で残しておいてください。適切な施策や対策を行ったうえで、数か月後に結果を見比べる際の比較材料になります。