「AI検索への対応が必要らしいことは分かった。ただ、自社のWebサイトが今どういう状態なのかが分からない」
AI検索(ChatGPTやGeminiのように、リンクの一覧ではなく答えの文章を返す検索のこと)が話題になり、そろそろ何か手を打った方がよさそうだという感覚は、この1年でかなり広がりました。一方で、自社のWebサイトが今どう見えているかを実際に確かめた方は、まだ多くありません。
理由ははっきりしています。AI検索には、検索順位のような分かりやすい成績表がないためです。 1位か10位かで測れるSEO(検索エンジン最適化)と違い、AIの回答に載ったかどうかは、聞いてみるまで分かりません。現在地が見えないので、何から手を付けるかも決められない。この順番で止まっている方が多いように感じます。
そこで私たちは、AI検索から見たWebサイトの状態を23項目・46点満点で採点するチェックリストを用意し、まず自社Webサイト(dotbinary.co)を採点しました。
2026年7月20日の初回は、8点。3週間後の8月10日に同じ項目で採点し直すと、26点になりました。
この記事では、23項目が何を見ているのかと、点数がどこで伸びてどこで伸びなかったのかを、実測値のまま公開します。
なぜ自社WebサイトのAI検索での現在地は見えにくいのか?
AIの回答は、同じ質問でも、聞くAI・聞くタイミング・言い回しによって変わります。1回聞いて自社の名前が出てこなかったとしても、それが実力なのか、たまたまなのかは、その1回では判断できません。
もう一つ、やっかいな点があります。AIに読まれていない状態と、読まれているが選ばれていない状態は、見た目がまったく同じです。 どちらも「AIの回答に自社が出てこない」という結果になります。ところが、必要な対処はまるで違います。前者はWebサイトの設定の問題で、後者は中身の問題です。
この2つを見分けるために、結果ではなく状態を先に点検します。AIがページを読める形になっているか。読んだときに引用しやすい形か。引用する理由があるか。これらを項目に分けて一つずつ確認し、点数として残しておくと、次に手を付ける場所が具体的に決まります。
自社のWebサイトは今、このどちらの状態でしょうか。一言で答えられない場合、最初に見るべきは順位でもアクセス数でもなく、Webサイトそのものの状態だと考えています。
GEO診断チェックリストの23項目は5つのカテゴリでできています
私たちが使っている診断表は、23項目・46点満点です。各項目を○=2点、△=1点、×=0点で採点します。項目は次の5つのカテゴリに分かれています。
① 技術基盤(5項目・10点)
AIがそもそもページを読めるかを見ます。主要な本文がJavaScript(ブラウザ上で表示を動かす仕組み)を実行しなくても読める形になっているか、robots.txt(巡回プログラムへの案内板にあたるファイル)でAIボットを止めていないか、見出しや表が正しいタグで組まれているか、といった項目です。ここが×だと、以降の項目は成立しません。
② コンテンツ構造(5項目・10点)
読んだ内容を引用しやすい形になっているかを見ます。見出しの直後1〜2文で答えが完結しているか、質問と回答の形があるか、比較表があるか、「〜とは」の定義や手順が切り出せる形か、更新日が明示されているか。AIは長文をそのまま引用しません。答えとして取り出せる単位になっているかが問われます。
③ 権威性・差別化(5項目・10点)
引用する理由があるかを見ます。著者の名前と肩書が書かれているか、自社の実測値や事例といった一次情報(他から持ってきたのではない、自分たちが出した情報)があるか、運営者情報が明確か、誇大な表現が混じっていないか。他所と同じことが書いてあるページを、AIがわざわざ選ぶ理由はありません。
④ AI検索での現在地(5項目・10点)
実際にAIに聞いた結果を記録します。主要な質問で引用されるか、社名を聞いたときに正しい説明が返るか、AI経由のアクセスを計測できる状態か。ここだけが唯一、Webサイトの中ではなく外に出た結果を見る項目です。
⑤ エンティティ信号(3項目・6点)
Webサイトの外でどう言及されているかを見ます。自社Webサイト以外の第三者による紹介があるか、ニュース掲載やプレスリリースの実績があるか、SNSで自社アカウント以外から言及されているか。AIはページ単位で優劣を付けるだけでなく、そのブランドが世の中でどう語られているかも含めて理解を作ります。
①から④までの20項目で40点、⑤の3項目で6点、合わせて46点満点という構成です。
こうして5つ並べてみると、AI検索対策として真っ先に思い浮かびやすい「記事を増やす」という作業は、②の一部にしか当たらないことが分かります。自社で今やっていることは、5つのうちどこに当たるでしょうか。
自社Webサイトを23項目で採点したら8点でした
2026年7月20日、この23項目で自社Webサイト(dotbinary.co)を採点しました。結果は8点です。内訳は、①技術基盤が5点、②コンテンツ構造が0点、③権威性・差別化が3点、④AI検索での現在地が0点でした。
※⑤エンティティ信号は初回時点では採点対象に含めていなかったため、前後の比較は①〜④の40点満点で行います。
dotbinaryのWebサイトは、もともと名刺代わりの会社紹介ページとして作っていました。2026年7月20日、AI検索対応を意識したWebサイトづくりへ方針を転換し、そこから改善に着手しています。8点という数字は、その方針転換をした瞬間の記録です。つまりこの時点では、GEO以前にSEO(検索エンジン最適化)そのものを意識していないページだった、ということになります。会社案内としては成立していても、AIが答えとして取り出せる単位には②が0点という結果が示すとおり、まったくなっていなかったわけです。
①でも問題が見つかりました。手元のrobots.txtは全ボット許可と書いてあるのに、実際に公開されていた内容はAIボットを全面ブロックしていた、という食い違いです。この件は『SEOはやっているのにAIに引用されない。原因はWebサイトの中身ではなく、その手前の設定にありました』で詳しく書いています。
8点という数字そのものより重要なのは、この採点をするまでどこが足りないのかを言葉にできていなかったことだと考えています。項目に分けた瞬間に、直す場所と順番が決まりました。
3週間後の再採点で26点まで伸びました
2026年8月10日、同じ23項目で採点し直した結果が次のとおりです。
| カテゴリ | 2026年7月20日 | 2026年8月10日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| ① 技術基盤 | 5 / 10 | 7 / 10 | +2 |
| ② コンテンツ構造 | 0 / 10 | 10 / 10 | +10 |
| ③ 権威性・差別化 | 3 / 10 | 8 / 10 | +5 |
| ④ AI検索での現在地 | 0 / 10 | 1 / 10 | +1 |
| ①〜④の合計 | 8 / 40 | 26 / 40 | +18 |
| ⑤ エンティティ信号 | 未採点 | 0 / 6 | 初回は未採点 |
46点満点で見ると、現在は26点です。3週間で18点動いた一方、満点までは20点分残っています。
点数が伸びた理由はブログ記事を2本公開したことでした
大きく動いたのは②と③です。そして、この2つが伸びた理由は同じでした。ブログ記事を2本公開したことです。
②コンテンツ構造が0点から10点になったのは、記事の中に比較表を置き、用語の定義と確認手順を切り出せる形で書き、公開日と更新日を明示したためです。②の項目は、実のところ「記事を書いたかどうか」ではなく「答えとして取り出せる形で書いたかどうか」を見ています。会社案内のページだけでは、この形を満たすのが難しいのです。
③権威性・差別化が3点から8点になったのは、記事に自社の実測データと著者名を載せたためです。他所でも読める一般論だけを書いていたら、この項目は動きませんでした。
注目したいのは、①技術基盤が5点から7点と、ほぼ横ばいだったことです。①に残っているのは構造化データ(検索エンジンやAIに向けて、ページの内容を決まった形式で伝える記述)の整備や表示速度の改善など、記事を書く作業とは別の種類の手当てが要る項目です。記事を増やしても、技術基盤の点数は上がりません。 逆に言えば、この2つは並行して進められる別の作業だということでもあります。
伸びなかった2つのカテゴリには共通点があります
正直にお伝えすると、④AI検索での現在地は10点満点で1点、⑤エンティティ信号は6点満点で0点のままです。3週間でほとんど動いていません。
この2つには共通点があります。どちらも、Webサイトの中ではなく外側で決まる項目だということです。
④は、AIの回答に実際に名前が出るかどうかです。AIがWebサイトの変更を読み取り、そのブランドについての理解を作り直すまでには時間差があります。①〜③を整えた効果は、少し遅れてここに表れます。
⑤は、第三者が自社について語っているかどうかです。こちらは自社Webサイトを何ページ直しても直接は増えません。「AIの回答に載る引用元は、自社Webサイト以外のドメインが多くを占める」という海外の分析もあり、外部からどう語られているかは無視できない要素になりつつあります。ただし、これは数週間で作れるものではなく、年単位で積み上がっていく種類の信号だと私たちは考えています。
つまり、点数が上がった時点ではまだ折り返しです。準備が整ったことと、結果が出たことは別々に測る必要があります。 私たちが④と⑤を毎月同じ質問で記録し続けているのは、この時間差を自分たちの目で確かめるためです。
手を付ける順番は、点数の低い項目からではありません
採点結果を目の前にすると、点数の低い項目から埋めたくなります。ただ、私たちは順番を分けて考えています。
①技術基盤が整っていない状態で②③を積み上げても、読まれないページが増えるだけです。かといって①だけ直しても、引用する理由がなければ選ばれません。そして④⑤は、①〜③の結果として後から動く指標なので、直接手を入れる対象ではありません。
ですので、点数の使い方は「合計が何点だったか」よりも「どのカテゴリで落としているか」にあります。同じ8点でも、①で落としているWebサイトと③で落としているWebサイトでは、明日やることがまったく違います。
自社のWebサイトで思い当たるのは、5つのうちどのカテゴリでしょうか。ここが分かるだけで、AI検索対応は「何をすればいいか分からない話」から「順番の決まった作業」に変わります。
23項目のうち10項目は専門知識なしで判定できます
AI検索対応の全体を診断し、改善までやり切るのは、片手間でできる作業ではありません。ただ、現在地を知るところまでであれば、ご自身でも進められます。
23項目のうち、ツールや専門知識がなくても、ページを開いて見るだけでYES・NOを判定できる項目があります。私たちはその中から10項目を抜き出し、無料のチェックリストにまとめました。この記事の下にあるフォームからお受け取りいただけます。
8点という数字も、最初は「何が足りないのか分からない」という状態から始まりました。項目に当てはめた時点で、直す場所と順番は決まります。まずは自社Webサイトの点数を出してみるところからでも、次の一手は見えてきます。