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著者 ハルオ(プロフィール)公開日 2026年10月10日最終更新 2026年10月13日

AIの仕組み

第1部 基礎(3ページ中1ページ目)

「日本語で頼んだだけなのに、フォルダの中に見積書のひな形ができていた。AIはどういう仕組みで動いているのか」

このページでは、AIモデルとハーネスの関係、チャットで使うAIとAIエージェントの違い、AIを操作する場所を説明します。ハーネスとは、Claude Code や Codex のように、AIモデルにファイル操作やコマンドの実行をさせるソフトです。

結論
  • AIエージェントは、文章やプログラムを作るAIモデルと、AIモデルを実際の作業に使えるようにするハーネスの組み合わせで動きます。
  • チャットで使うAIとAIエージェントの違いは、AIモデルの性能ではなく、ハーネスが使わせるツールと、ツールが動く場所です。
  • AIモデルはどの場合もクラウドで動きます。PC、クラウド、スマホで変わるのは、AIエージェントがファイルを読み書きする場所です。
  • AIを操作する場所は、扱うファイルがどこにあるかと、PCを閉じても作業を続けたいかで選んでください。

このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。

業務でどう使うか

使いどころ
  • 見積書づくりで失敗したとき、原因がプロンプト(AIへの指示)と資料にあるか、ハーネスの設定にあるかを切り分ける
  • 見積書や在庫表のように、実物のファイルとして残したい仕事を AIエージェントに任せる
  • 社内のPCにだけ置いている資料を扱う仕事は、PCで動かす AIエージェントに任せる
  • 外出先から、PCで動いている作業の方向をスマホで直す
避けたい使い方
  • AIエージェントが触れてよいフォルダを決めずに、PC全体を開いて始める
  • PCにだけ置いたファイルを、クラウドで動く AIエージェントが読める前提で頼む
  • 送信、公開、支払い、削除のような外部に出る操作を、スマホから承認する

AIモデルとハーネスの関係

AIエージェントは、AIモデルとハーネスを組み合わせ、ツールを使い、結果を確かめながら作業を進めるAIです。中身は次の2段に分かれます。

ハーネス
AIモデルの周囲にあり、ファイル操作、コマンドの実行、権限の確認、記録などを受け持つ。Claude Code、Codex など
AIモデル
文章やプログラムを作り出すAIそのもの。渡された情報を読み、次に何をするか、何を書くかを決める。Claude や ChatGPT の中で動いているもの

AIモデルが「このファイルを読む」と決めると、ハーネスがそのファイルを読み、中身をAIモデルに渡します。ファイルを作る、Webページを取得する、といった実際の操作も、ハーネスが行います。

Anthropic の公式用語集は、Claude Code(Anthropic 社が提供するAIエージェント)をハーネス、Claude をその中で動くAIモデルと説明しています。Codex(OpenAI 社が提供するAIエージェント)も、ハーネスの例です。同じAIモデルでも、組み合わせるハーネスが違えば、AIエージェントができる作業が変わります。

AIモデルとハーネスは、次の3つの工程を行き来しながら作業を進めます。Anthropic の公式ドキュメントは、Claude Code の動き方をこの3つで説明しています。

情報を集めるフォルダのファイルを読む、検索する、Webページを取得する
作業するファイルを書き換える、コマンドを実行する
結果を確かめる実行結果やエラーを読み、次の作業を決める

質問に答えるだけなら、AIエージェントは最初の工程で終わります。ファイルの修正なら、3つの工程を何度も繰り返します。エージェントループとは、結果を確かめた後に最初の工程へ戻り、作業が終わるまで3つの工程を繰り返す動き方です。

実務でのポイント

AIエージェントに見積書を作らせて失敗したときは、原因を2つに分けて考えてください。金額や文面がずれているなら、プロンプトと渡した資料を見直します。ファイルの置き場所や書き換えた範囲がずれているなら、ハーネスの設定を見直します。分けて考えると、直す場所が分かるためです。

関連:『AIに任せる範囲の決め方』

チャットとAIエージェントの違い

違いはAIモデルの性能ではなく、ハーネスがAIモデルに使わせるツールと、ツールが動く場所です。

チャットで使うAIにも、AIを提供する会社のサービス側にハーネスがあります。ただし、使えるツールは、サービスが用意したものに限られます。

チャットで答えるだけのAIと違い、AIエージェントはファイルを書き換え、コマンドを実行し、外部サービスに接続できます。

観点チャットで使うAIAIエージェント
使えるツールWeb検索、ファイル作成など、サービスが用意したものファイルの読み書き、コマンドの実行、Webページの取得、外部サービスの操作
読める範囲人がチャットに渡した文章、画像、ファイル開いたフォルダのファイルと、接続した外部サービス
生成物の残り方画面の文章か、人がダウンロードするファイル指定したフォルダに、実物のファイルとして残る
人が決めること何を渡すか、生成物を誰が確かめるか同じことに加えて、触れてよいフォルダと、人に確認せずに使ってよいツール

使えるツールが増えるほど、人が決めることも増えます。AIエージェントでは、触れてよいフォルダと、確認せずに使ってよいツールを先に決めてください。

関連:『AIに与える権限』

AIを操作する場所

Claude や ChatGPT で使われているAIモデルは、どの場所から操作しても、AIを提供する会社がインターネット上に用意したコンピューター(クラウド)で動きます。場所によって変わるのは、ハーネスが動き、ファイルを読み書きする場所です。

Claude Code をPCで動かす場合、PCで動くのはハーネスです。ハーネスは、プロンプトと読んだファイルの内容をクラウドのAIモデルに送り、返った結果をもとにPCで作業します。そのため、PCで動かす場合もインターネットへの接続が必要です。

次の表の『クラウド』は、Claude Code on the web を使う場合です。Claude Code on the web は、毎回クラウドに新しい環境を用意します。生成物は、GitHub に送るまで残りません。

『スマホ』は、Remote Control を使う場合です。セッションとは、AIとのチャットのやりとりのまとまりで、「新規」で始めてから終えるまでが1つです。Remote Control とは、自分のPCで動いている Claude Code のセッションを、claude.ai やスマホアプリから操作する機能です。

観点PCクラウドスマホ
AIエージェントが読めるもの開いたフォルダのファイルと、CLAUDE.md や .claude/settings.json などの設定GitHub のリポジトリから写したファイルと、プロンプトに添付したファイルPCで動くセッションと同じ。スマホにファイルは移らない
PCを閉じたとき止まる作業が続く止まる
気をつけること開いたフォルダの外や、ログイン済みのサービスにも操作が及びうる環境の設定欄に書いた値を、その環境を使う人全員が読めるスマホで押した承認は、PCの前で押した承認と同じ効果を持つ

Remote Control では、作業の実行は常にPC側です。使うには、PCが次の状態になっている必要があります。

  • PCが起動していて、スリープしていない
  • PCがインターネットに接続されている
  • Remote Control を有効にした Claude Code のセッションが、起動したままになっている

ターミナルを閉じる、VS Code を終了する、PCがスリープする、のいずれかで接続が切れます。スリープから復帰すると、自動で再接続します。画面ロック中に使えるかは、2026年9月時点で Anthropic の公式ドキュメントに記載がありません。外出の前に、画面ロックした状態で一度試してください。

2026年9月時点の仕様
  • Remote Control は Pro、Max、Team、Enterprise で使えます。Team と Enterprise では、管理者が有効にするまで使えません。
  • APIキーとは、プログラムからAIや外部サービスを呼び出すための認証用の文字列です。APIキーで Claude Code にログインした場合、Remote Control は使えません。

関連:『現時点の仕様』の『クラウド版、スマホ、ブラウザ操作』

セッションが見える範囲も、場所によって違います。

claude.ai のチャット
同じアカウントなら、PC、Web、スマホアプリで同じセッションが表示されます。
PCで動かす Claude Code のセッション
Remote Control を有効にしない限り、claude.ai にもスマホアプリにも表示されません。
クラウドで動かす Claude Code のセッション
claude.ai/code とスマホアプリで見られます。

場所の選び方

場所は、扱うファイルがどこにあるかと、PCを閉じても作業を続けたいかで選びます。次の4点を順に確かめてください。

扱うファイルはどこにあるかPCのフォルダだけにあるならPC、GitHub のリポジトリにあるならクラウドも使える
PCを閉じても作業を続けたいか続けたいならクラウド。スマホから操作するなら、PCをスリープさせない
どの操作を、どの画面で承認するか外部に出る操作は、PCの前で承認する
利用上限の残りを見たかクラウドで並行して動かすほど、契約プランの利用上限を多く使う
例

外出先で、PCの Claude Code に口コミへの返信の下書きを作らせ、スマホで読んで表現の直しを頼みます。投稿は取り消しにくいため、帰社後にPCの前で読み直してから行います。

スマホから承認してよい操作は、経営者が決めてください。GitHub 連携と Remote Control の設定は、外部の詳しい人に頼んでかまいません。頼むときは、使うリポジトリの名前と、スマホから承認してよい操作の一覧を渡してください。

まとめ

  • 扱うファイルがPCのフォルダにあるか、GitHub にあるかを確かめ、AIを操作する場所を決める
  • AIエージェントが触れてよいフォルダと、確認せずに使ってよいツールを決める
  • スマホから承認してよい操作を一覧にし、外部に出る操作はPCの前で承認する

よくある質問

チャットで使うAIがWeb検索や画像の読み取りをするのは、AIエージェントだからですか?
AIエージェントだからではありません。claude.ai のWeb検索や、文書や表のファイルを作る機能は、サービス側のハーネスがAIモデルに使わせるツールです。渡した画像を読み取る能力は、AIモデル自体が持っています。チャットで使うAIは、PCのフォルダのファイルを書き換えたり、PCでコマンドを実行したりはしません。
PCで動かせば、顧客名簿を読ませても社外に出ませんか?
社外に出ます。PCで動くのはハーネスで、ハーネスは読んだファイルの内容をクラウドのAIモデルに送るためです。本ガイドは、個人情報と機密情報をAIに入れないことを勧めています。業務は、ひな形と差し込みに分けてください。AIには {氏名} などの差し込み欄を入れたひな形だけを作らせ、実際の名前の差し込みはAIの外で行います。AIを提供する会社の法人向けの契約プランを結び、契約内容を確認した会社には、AI利用ルールで、AIに入れてよい情報の種類を決めたうえで使う方法もあります。どちらにするかは、経営者が決めてください。
スマホから操作できるようにすると、会社のPCに外から入られやすくなりますか?
PCが外部からの接続を受け付けるようにはなりません。Anthropic の公式ドキュメントによると、Remote Control を使うPCは、自分から Anthropic のサーバーに接続するだけで、外部からの接続を待ち受けないためです。ただし、安全に使うには条件があります。スマホを操作できる人は、PCの Claude Code も操作できます。スマホに画面ロックをかけ、ログインしたままのスマホを人に貸さないでください。また、接続中は同期のため、セッションの記録が Anthropic のサーバーに保存されます。

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