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著者 ハルオ(プロフィール)公開日 2026年10月10日最終更新 2026年10月13日

従量課金のAI

第3部 実践(6ページ中4ページ目)

「使った分だけ請求されるAIを業務に取り入れたいが、月末の請求額がいくらになるか見当がつかない」

このページでは、従量課金のAIの請求の仕組みと、費用が膨らまないための上限の決め方を、SNS投稿用の画像や商品説明文の一括生成の例で説明します。

結論
  • 従量課金のAIは、定額の契約プランとは別に、使った量に応じて請求されます。
  • APIキーを手に入れた人は、そのアカウントの費用でAIを呼び出せるため、APIキーの管理は費用の管理と同じです。
  • 使い始める前に、利用上限と通知の両方を設定し、用途ごとに専用のAPIキーを分けてください。
  • 画像や動画の生成は、数を決めて少量で試し、見積額を承認してから本番に進めてください。

このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。

業務でどう使うか

使いどころ
  • SNS投稿用の画像を、サイズと構図を決めた型で、枚数を決めてから作る
  • 商品説明文を5点だけ生成して費用を測り、見積額を確かめてから残りを一括で生成する
  • チラシやバナーの案出しで、低い品質の案を数点並べ、1案を選んでから本番の品質で作る
  • 店頭モニター用の短い動画を、秒数と本数を決めてから1本ずつ作る
避けたい使い方
  • 画像の作り直しを AIエージェントに任せ、作り直しの回数に上限を決めない
  • 商品の実物写真や施工事例の代わりに生成画像を使い、本物のように見せる
  • 有名なキャラクター名や作家名をプロンプト(AIへの指示)に入れる
  • APIキーをチャットや共有フォルダに書いて置く

従量課金の請求の仕組み

従量課金のAIは、定額の契約プランとは別に、使った量がそのまま請求額になります。

ChatGPT を提供する OpenAI 社も、Claude を提供する Anthropic 社も、API の料金を契約プランとは別に請求します。Claude API も、契約プランの月額には含まれません。

費用の単位は、生成するものごとに違います。

文章
トークンの数で決まります。日本語では、おおむね1文字が1〜2トークン程度です。読ませる資料が長いほど、数が増えます。
画像
1枚ごとに課金されます。品質とサイズの設定で、1枚の単価が変わります。
動画
秒数ごとに課金されます。解像度の設定で、1秒の単価が変わります。

支払い方は3つに分かれ、使いすぎたときに止まるかどうかが違います。

観点契約プランの枠前払いの残高後払いの請求
仕組み月額の契約に含まれる利用量先に入れた額から、使うたびに減る使った分が後から請求される
使いすぎたとき枠を使い切ると止まる。追加の支払いがオンなら続く残高が尽きると止まる。自動補充がオンなら続く止める設定がなければ続く
先に決めること追加の支払いをオンにするか。オンなら上限額一度に入れる額。自動補充を使うか通知の額と、利用上限の額
見落としやすい点枠が文章と画像で共有されることがある残高は返金されず、期限で失効することがある通知だけでは課金は止まらない
2026年9月時点の仕様

Claude の有料の契約プランには、使い切った後の追加利用の設定があり、初期状態でオフです。Claude API の支払いは、契約プランとは別の前払いクレジットです。

関連:『現時点の仕様』の『料金と上限』

APIキーと費用の関係

APIキーを手に入れた人は、そのアカウントの残高と上限の範囲で、AIを呼び出して費用を発生させられます。

APIキーが漏れると、他人がそのAPIキーでAIを呼び出し、その利用料が持ち主のアカウントに請求されることがあります。APIキーは、支払いの手段と同じ扱いにしてください。

置き場所
チャットにもプロンプトにも書かず、.env に置いてください。共有フォルダやスキルの中にも置きません。スキルを配ると、APIキーも一緒に配ることになるためです。
持つ人
誰が発行し、誰が持つかを一覧にしてください。退職や外注の終了のときに、無効にするAPIキーをすぐに特定できるためです。
交換
3か月ごとに新しいAPIキーに交換し、古いものは無効にしてください。気づかないうちに漏れていても、使われる期間を区切れるためです。
ログインして許可する接続
ログイン画面で「許可」を押して接続する OAuth の方式は、APIキーを扱いませんが、生成のたびにそのアカウントの残高は減ります。

漏れたと気づいたら、原因を調べる前にAPIキーを無効にしてください。無効にするまでの時間が長いほど、不正な利用料が増えるためです。

関連:『事故の初動』

2026年9月時点の仕様

Claude Code(Anthropic 社が提供するAIエージェント)のチャットに書いたAPIキーは、PCのセッション記録と Anthropic のサーバーの両方に残ります。PCのセッション記録は暗号化されず、既定で30日保存されます。

関連:『現時点の仕様』の『AIに渡る情報と、残る記録』

注意

他人が作ったスキルやプラグイン(スキルとフックの詰め合わせ)を入れると、その中のプログラムがPCで動き、PCに置いたAPIキーを使うことがあります。入れる前に配布元を確かめ、確かめられないものは本番用のAPIキーを置いたPCで動かさないでください。

利用上限、通知、専用のAPIキー

使い始める前に、次の3つを設定してください。

利用上限
月の利用額が決めた額に達したら、AIの呼び出しを受け付けなくする設定です。費用の最大額が決まります。
通知
月の利用額が決めた額に達したら、メールで知らせる設定です。気づくための設定で、課金は止まりません。
専用のAPIキー
SNS投稿用の画像、商品説明文、テスト用のように、用途ごとに分けて発行するAPIキーです。

通知だけでは、メールを見ていない週末のあいだも課金が続きます。通知と利用上限は、両方を設定してください。

AIの呼び出しが際限なく続き、費用が膨らむ原因は、主に次の3つです。

  • AIエージェントに任せた作り直しの繰り返し
  • 定期実行の設定の誤り
  • 漏れたAPIキーの悪用

国際的な非営利団体 OWASP も、AIを使ったアプリの主要な危険の1つにこの被害を挙げています。利用上限は、どの原因で起きても費用の最大額を抑えます。

2026年9月時点の仕様

OpenAI の API は、上限で止める設定をオンにしたときだけ、上限に達すると呼び出しが止まります。止まるまでに時間差があり、上限を少し超えることがあります。Anthropic の API は、管理画面で独自の月の上限を設定でき、達すると呼び出しが止まります。

関連:『現時点の仕様』の『料金と上限』

用途ごとにAPIキーを分けると、使いすぎや漏えいが起きたときに、その用途の1本だけを無効にでき、ほかの業務は止まりません。テスト用と本番用も分けてください。試しの生成が本番の予算を減らすことを防げます。OpenAI の API では、用途ごとにプロジェクトを分けると、用途ごとに月の上限を決められます。

月の予算額、用途の分け方、APIキーを持つ人は、経営者が決めてください。上限と通知の設定、APIキーの発行と .env への保存は、詳しい人に頼んでかまいません。

実務でのポイント

予算は円で決めてください。料金がドル建てのサービスでは、為替で円の費用が変わるためです。月の予算を円で決め、余裕を見てドルに直した額を利用上限に入れます。前払いの場合は、一度に入れる額を小さくし、自動補充を使わないことが、そのまま利用上限になります。

画像と動画の生成の進め方

画像や動画の生成は、数を決めて少量で試し、見積額を承認してから本番に進めてください。

動画は画像より費用が大きくなりやすく、10秒の動画1本が画像数十枚分になることがあります。料金は数か月の単位で変わるため、使う日に各社の公式の料金ページで確かめてください。

番号が大きいほど、1回の操作で動く費用が大きく、人の承認を厚くする操作です。

1残高と利用状況の確認使えるAIモデルの一覧や残高を見る。生成はしない
2低い品質の試し生成構図や方向性を確かめる。失敗はこの段階で出し切る
3高い品質や大きいサイズの画像設定しだいで1枚の費用が大きく変わる
4動画の生成秒数で課金される。1本ずつ、人の承認を挟む
5同時に何本も生成する、無人で繰り返す同じ時間に複数の課金が進む。利用上限なしでは行わない

生成は、次の順で進めてください。試しの失敗はわずかな費用で済みますが、本番の失敗は本番の費用をそのまま失います。

数を決める何を何枚、何秒作るか。品質とサイズも書き出す
見積もる公式の料金ページの数字だけで計算する
少量で試す1枚、低い品質、短い秒数で方向性を確かめる
見積額を承認する見積額と試作を見て、本番に進むかを決める。月の予算を超えるなら経営者が決める
本番の生成と記録実際の費用と、使ったプロンプトや設定を残す
例

在庫表にある商品200点の説明文の生成を AIエージェントに任せる場合です。最初に5点だけ生成させ、管理画面で使ったトークンの数と金額を確かめます。その金額の40倍が、200点の見積額です。見積額が月の予算に収まることを確かめてから、残りを生成させます。

プロンプト例

商品説明文を、在庫表の先頭5点だけ作ってください。料金は公式の料金ページの数字だけを使い、見つからなければ「未確認」と書いてください。終わったら、使ったトークンの数と費用を報告し、残り195点の見積額を出してください。残りの生成は、承認するまで始めないでください。

画像に入れる文字は、生成のあとで重ねてください。画像の中で文字を生成させると、誤字を直すたびに生成し直しになり、そのたびに課金されるためです。

2026年9月時点の仕様

Codex(OpenAI 社が提供するAIエージェント)に内蔵された画像生成は、Codex の利用枠を通常の3〜5倍の速さで使います。

関連:『現時点の仕様』の『画像、動画の生成』

請求の確認と生成物の保存

月末の請求は、見積もりと並べて差を確かめてください。使った分を見なければ、次の見積もりの精度が上がらないためです。

急に増えていたら、先にその用途のAPIキーを無効にしてから原因を調べてください。用途の一覧、APIキー、利用上限の額は、3か月ごとに見直します。

生成サービスが返す画像や動画のURLは、一定の期間が過ぎると取得できなくなることがあります。業務で使う画像や動画はダウンロードし、自社の共有フォルダに保存してください。使ったAIモデル、設定、プロンプト、生成した日も同じフォルダに残すと、取引先に制作の過程を説明できます。

生成物を業務で使ってよいかは、費用とは別に人が確かめてください。

関連:『法律とガイドライン』

まとめ

  • 従量課金のAIは、契約プランとは別に、使った量に応じて請求されます。
  • 用途の一覧を作り、用途ごとに専用のAPIキーを発行して、持つ人を決めてください。
  • 使い始める前に、利用上限と通知の両方を設定してください。
  • 最初の生成は少量で試し、見積額を承認してから本番に進め、月末に請求と見比べてください。
  • 請求額の上限は、AIを使い始める前に経営者が決めます。

よくある質問

前払いで入れた残高が余ったら、返金されますか
Claude API の前払いクレジットは、2026年9月時点では、購入から1年で失効し、返金されません。残高の自動補充は任意です。一度に入れる額は、1か月で使い切れる程度にとどめてください。余った残高が失効すると、そのまま損になるためです。ほかのサービスの返金の条件は、各社の公式の料金ページや規約で確かめてください。
外注先や制作会社に画像の生成を頼む場合も、APIキーの管理は必要ですか
外注先が外注先自身のアカウントで生成するなら、利用料は外注先に請求されます。この場合は、見積書と請求書で生成の費用を確かめてください。自社のAPIキーを外注先に使わせる場合は、その外注先専用のAPIキーを発行し、利用上限を低めに設定してください。持つ人の一覧に外注先の名前を書き、契約が終わったら、そのAPIキーを無効にします。
従業員が個人のアカウントやカードでAIの利用料を払っている場合は、どうすればよいですか
業務で使う分は、会社のアカウントに切り替えてください。個人のアカウントでは、会社が利用上限と通知を設定できず、退職のときにAPIキーを無効にできないためです。会社のアカウントで用途ごとに専用のAPIキーを発行し、持つ人の一覧に加えます。切り替えまでの利用額は、本人に管理画面の利用状況を見せてもらって確かめてください。

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本ガイドは、個人事業主や中小企業が、AIを業務に使うための考え方をまとめたものです。読んで「自社の業務ではどうなるのか」と思った方は、お問い合わせフォームから、今の業務と困りごとを教えてください。

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