「使った分だけ請求されるAIを業務に取り入れたいが、月末の請求額がいくらになるか見当がつかない」
このページでは、従量課金のAIの請求の仕組みと、費用が膨らまないための上限の決め方を、SNS投稿用の画像や商品説明文の一括生成の例で説明します。
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業務でどう使うか
従量課金の請求の仕組み
従量課金のAIは、定額の契約プランとは別に、使った量がそのまま請求額になります。
ChatGPT を提供する OpenAI 社も、Claude を提供する Anthropic 社も、API の料金を契約プランとは別に請求します。Claude API も、契約プランの月額には含まれません。
費用の単位は、生成するものごとに違います。
- 文章
- トークンの数で決まります。日本語では、おおむね1文字が1〜2トークン程度です。読ませる資料が長いほど、数が増えます。
- 画像
- 1枚ごとに課金されます。品質とサイズの設定で、1枚の単価が変わります。
- 動画
- 秒数ごとに課金されます。解像度の設定で、1秒の単価が変わります。
支払い方は3つに分かれ、使いすぎたときに止まるかどうかが違います。
| 観点 | 契約プランの枠 | 前払いの残高 | 後払いの請求 |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 月額の契約に含まれる利用量 | 先に入れた額から、使うたびに減る | 使った分が後から請求される |
| 使いすぎたとき | 枠を使い切ると止まる。追加の支払いがオンなら続く | 残高が尽きると止まる。自動補充がオンなら続く | 止める設定がなければ続く |
| 先に決めること | 追加の支払いをオンにするか。オンなら上限額 | 一度に入れる額。自動補充を使うか | 通知の額と、利用上限の額 |
| 見落としやすい点 | 枠が文章と画像で共有されることがある | 残高は返金されず、期限で失効することがある | 通知だけでは課金は止まらない |
Claude の有料の契約プランには、使い切った後の追加利用の設定があり、初期状態でオフです。Claude API の支払いは、契約プランとは別の前払いクレジットです。
関連:『現時点の仕様』の『料金と上限』
APIキーと費用の関係
APIキーを手に入れた人は、そのアカウントの残高と上限の範囲で、AIを呼び出して費用を発生させられます。
APIキーが漏れると、他人がそのAPIキーでAIを呼び出し、その利用料が持ち主のアカウントに請求されることがあります。APIキーは、支払いの手段と同じ扱いにしてください。
- 置き場所
- チャットにもプロンプトにも書かず、.env に置いてください。共有フォルダやスキルの中にも置きません。スキルを配ると、APIキーも一緒に配ることになるためです。
- 持つ人
- 誰が発行し、誰が持つかを一覧にしてください。退職や外注の終了のときに、無効にするAPIキーをすぐに特定できるためです。
- 交換
- 3か月ごとに新しいAPIキーに交換し、古いものは無効にしてください。気づかないうちに漏れていても、使われる期間を区切れるためです。
- ログインして許可する接続
- ログイン画面で「許可」を押して接続する OAuth の方式は、APIキーを扱いませんが、生成のたびにそのアカウントの残高は減ります。
漏れたと気づいたら、原因を調べる前にAPIキーを無効にしてください。無効にするまでの時間が長いほど、不正な利用料が増えるためです。
関連:『事故の初動』
Claude Code(Anthropic 社が提供するAIエージェント)のチャットに書いたAPIキーは、PCのセッション記録と Anthropic のサーバーの両方に残ります。PCのセッション記録は暗号化されず、既定で30日保存されます。
関連:『現時点の仕様』の『AIに渡る情報と、残る記録』
他人が作ったスキルやプラグイン(スキルとフックの詰め合わせ)を入れると、その中のプログラムがPCで動き、PCに置いたAPIキーを使うことがあります。入れる前に配布元を確かめ、確かめられないものは本番用のAPIキーを置いたPCで動かさないでください。
利用上限、通知、専用のAPIキー
使い始める前に、次の3つを設定してください。
- 利用上限
- 月の利用額が決めた額に達したら、AIの呼び出しを受け付けなくする設定です。費用の最大額が決まります。
- 通知
- 月の利用額が決めた額に達したら、メールで知らせる設定です。気づくための設定で、課金は止まりません。
- 専用のAPIキー
- SNS投稿用の画像、商品説明文、テスト用のように、用途ごとに分けて発行するAPIキーです。
通知だけでは、メールを見ていない週末のあいだも課金が続きます。通知と利用上限は、両方を設定してください。
AIの呼び出しが際限なく続き、費用が膨らむ原因は、主に次の3つです。
- AIエージェントに任せた作り直しの繰り返し
- 定期実行の設定の誤り
- 漏れたAPIキーの悪用
国際的な非営利団体 OWASP も、AIを使ったアプリの主要な危険の1つにこの被害を挙げています。利用上限は、どの原因で起きても費用の最大額を抑えます。
OpenAI の API は、上限で止める設定をオンにしたときだけ、上限に達すると呼び出しが止まります。止まるまでに時間差があり、上限を少し超えることがあります。Anthropic の API は、管理画面で独自の月の上限を設定でき、達すると呼び出しが止まります。
関連:『現時点の仕様』の『料金と上限』
用途ごとにAPIキーを分けると、使いすぎや漏えいが起きたときに、その用途の1本だけを無効にでき、ほかの業務は止まりません。テスト用と本番用も分けてください。試しの生成が本番の予算を減らすことを防げます。OpenAI の API では、用途ごとにプロジェクトを分けると、用途ごとに月の上限を決められます。
月の予算額、用途の分け方、APIキーを持つ人は、経営者が決めてください。上限と通知の設定、APIキーの発行と .env への保存は、詳しい人に頼んでかまいません。
予算は円で決めてください。料金がドル建てのサービスでは、為替で円の費用が変わるためです。月の予算を円で決め、余裕を見てドルに直した額を利用上限に入れます。前払いの場合は、一度に入れる額を小さくし、自動補充を使わないことが、そのまま利用上限になります。
画像と動画の生成の進め方
画像や動画の生成は、数を決めて少量で試し、見積額を承認してから本番に進めてください。
動画は画像より費用が大きくなりやすく、10秒の動画1本が画像数十枚分になることがあります。料金は数か月の単位で変わるため、使う日に各社の公式の料金ページで確かめてください。
番号が大きいほど、1回の操作で動く費用が大きく、人の承認を厚くする操作です。
生成は、次の順で進めてください。試しの失敗はわずかな費用で済みますが、本番の失敗は本番の費用をそのまま失います。
在庫表にある商品200点の説明文の生成を AIエージェントに任せる場合です。最初に5点だけ生成させ、管理画面で使ったトークンの数と金額を確かめます。その金額の40倍が、200点の見積額です。見積額が月の予算に収まることを確かめてから、残りを生成させます。
商品説明文を、在庫表の先頭5点だけ作ってください。料金は公式の料金ページの数字だけを使い、見つからなければ「未確認」と書いてください。終わったら、使ったトークンの数と費用を報告し、残り195点の見積額を出してください。残りの生成は、承認するまで始めないでください。
画像に入れる文字は、生成のあとで重ねてください。画像の中で文字を生成させると、誤字を直すたびに生成し直しになり、そのたびに課金されるためです。
Codex(OpenAI 社が提供するAIエージェント)に内蔵された画像生成は、Codex の利用枠を通常の3〜5倍の速さで使います。
関連:『現時点の仕様』の『画像、動画の生成』
請求の確認と生成物の保存
月末の請求は、見積もりと並べて差を確かめてください。使った分を見なければ、次の見積もりの精度が上がらないためです。
急に増えていたら、先にその用途のAPIキーを無効にしてから原因を調べてください。用途の一覧、APIキー、利用上限の額は、3か月ごとに見直します。
生成サービスが返す画像や動画のURLは、一定の期間が過ぎると取得できなくなることがあります。業務で使う画像や動画はダウンロードし、自社の共有フォルダに保存してください。使ったAIモデル、設定、プロンプト、生成した日も同じフォルダに残すと、取引先に制作の過程を説明できます。
生成物を業務で使ってよいかは、費用とは別に人が確かめてください。
関連:『法律とガイドライン』
まとめ
- 従量課金のAIは、契約プランとは別に、使った量に応じて請求されます。
- 用途の一覧を作り、用途ごとに専用のAPIキーを発行して、持つ人を決めてください。
- 使い始める前に、利用上限と通知の両方を設定してください。
- 最初の生成は少量で試し、見積額を承認してから本番に進め、月末に請求と見比べてください。
- 請求額の上限は、AIを使い始める前に経営者が決めます。