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著者 ハルオ(プロフィール)公開日 2026年10月10日最終更新 2026年10月13日

公開前の確認

第3部 実践(6ページ中5ページ目)

「AIエージェントと作ったお知らせページや予約フォームを、このまま公開してよいのか判断がつかない」

このページでは、AIで作ったページやツールを公開する前と後に、人が確かめることを説明します。

結論
  • 公開は外部に出る操作なので、公開の判断と最後の確認は人が行います。
  • APIキーやパスワードは公開されるファイルに書かず、置き場所の設定は制作会社や詳しい人に頼んでください。
  • 見せる相手を先に決め、リンクを知っていれば見られる状態は、誰でも見られる状態と同じに扱ってください。
  • 公開したら、ログインしていない別のブラウザで、表示、リンク、フォームの送信を人が確かめてください。

このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。

業務でどう使うか

使いどころ
  • 店のお知らせページの文面とレイアウトを AIエージェントに作らせ、公開の操作は人が行う
  • 取引先に見せる料金表の試作は、ログインした関係者だけが見られる形で共有する
  • 公開の直後に、別のスマホから予約フォームで試しの予約を1件送る
避けたい使い方
  • 顧客名簿や売上の実データを入れた試作品を、閲覧制限のないURLで取引先に送る
  • APIキーを、ブラウザで読み込まれるファイルに書いたまま公開する
  • 公開、送信、削除までを、人の確認なしで AIエージェントに任せる

公開までの分担

ページの作成と公開前の点検は AIエージェントに任せ、公開の判断と公開後の確認は人が行ってください。

公開したものは取り消しがききにくいためです。AIエージェントの「確認しました」という報告は、正しいことの証拠ではありません。

AIエージェントがページを作る文面、料金、載せる写真を渡して作らせる
AIエージェントが公開前の点検をする認証情報、個人情報、リンク切れを洗い出して報告させる
人が点検の結果を確かめる報告を読み、料金や日付を元の資料と照合する
人が公開する見せる相手に合う公開範囲を選び、公開の操作を行う
人が公開後に確かめる別のブラウザで、表示、リンク、フォームを確かめる

公開前の点検は検証に、公開の判断は安全と責任にあたります。

関連:『変わらない5つの問い』

制作会社に作成を頼んでいる場合も、公開の操作を誰が行うかは経営者が決めてください。GitHub とは、ページのファイルを保管し、変更の履歴を残すサービスです。GitHub と公開先のサービスをつないでいると、ファイルを GitHub へ送る操作(push)が、そのまま公開になります。push を AIエージェントに任せると、公開を任せているのと同じになります。

関連:『AIに与える権限』

認証情報の置き場所

APIキーやパスワードは、公開されるファイルに書かないでください。

公開されるページのファイルは、訪問者のブラウザがそのまま読み込みます。画面に表示していない文字も、ブラウザの「ページのソースを表示」で誰でも読めます。APIキー、パスワード、データベースの接続情報をファイルに書くと、公開した時点で誰にでも渡したことになります。

例

予約フォームを作らせる途中で、メール送信サービスのAPIキーをチャットに書いたとします。AIエージェントは、そのAPIキーをフォームのファイルにそのまま書き込むことがあります。フォームは正しく動くため、画面を見るだけでは気づけません。

APIキーは、ファイルではなく環境変数に置くのが基本です。環境変数とは、ファイルとは別に、公開先のサービスの設定画面に登録しておく値です。登録の作業は、制作会社や詳しい人に頼んでかまいません。

プロンプト例

公開するファイルに、APIキー、パスワード、個人情報が含まれていないか一覧にしてください。見つけた場合は、ファイル名と行を示し、書き換えはしないでください。

ボタンを押すとAIが答えるページでは、訪問者の操作1回ごとに、公開した側のAPIキーで費用が発生します。大量の処理を送り付けられて費用が膨らむ被害を、国際的な非営利団体 OWASP はAIを使ったアプリの主要な危険の1つに挙げています。費用の通知と上限の設定は、経営者が自分で確かめてください。

関連:『従量課金のAI』

2026年9月時点の仕様

公開先のサービスに登録した環境変数は、保存時に暗号化されますが、そのプロジェクトにアクセスできる人には見えます。

関連:『現時点の仕様』の『公開と共有』

見せる相手と閲覧制限

見せる相手を先に決め、次の4つの段階から、その相手に合う閲覧制限を選んでください。

数字が大きいほど、見られる人が多く、公開を取り消しにくい状態です。

1自分だけ自分のPC、非公開の置き場所、管理者だけのページ
2ログインした関係者だけ誰に許可したかを名前で管理できる。社内や取引先向けの基本形
3リンクを知っている人サービスによっては「限定公開」と呼ぶ。転送は止められないため、誰でもと同じに扱う
4誰でも検索、転送、保存をされても困らないものだけを置く

見落としやすいのは、リンクを知っている人だけが見られる状態です。URLは、メールの転送やチャットへの貼り付けで、送った相手の先へ広がります。送った側からは、誰が開いたかを確かめられないことがほとんどです。

公開するもの選ぶ段階理由
店のお知らせページ誰でもお客様全員に見てほしい。載せるのは外部に出てよい内容だけにする
予約フォームフォームは誰でも、受け付けた予約の一覧は自分だけ入力されたお客様の名前と連絡先を、関係のない人に見せないため
取引先向けの料金表の試作ログインした関係者だけ取引条件が入るため、見せる相手を名前で管理する

AIで作ったページの公開には、多くの場合、ファイルを保管するリポジトリと、URLで見られる形にする公開先のサービスの2つを使います。リポジトリとは、GitHub などに置く、ページのファイルの保管場所です。リポジトリを非公開にしても、公開先のサービスで閲覧制限を設定しない限り、できあがったページは誰でも見られます。

自社のページの作り方が分からない場合は、制作会社に「閲覧制限はどう設定していますか」と聞いてください。

2026年9月時点の仕様

公開先の閲覧制限は、自動では有効になりません。無料の個人向けの契約プランは非商用に限る、という条件のサービスがあります。

関連:『現時点の仕様』の『公開と共有』

公開直後の確認

公開の直後に、ログインしていない別のブラウザかスマホでURLを開き、次の5つを人が確かめてください。

作った人のブラウザはログイン済みなので、閲覧制限が効いていなくても気づけないためです。

確かめること見るところ業務での例
表示崩れスマホとPCで、文字の重なり、画像の欠け、はみ出しがないか料金表がスマホで横にはみ出していないか
リンクすべてのリンクとボタンが、意図した先に移るか地図と電話番号のリンクが店の情報につながるか
フォームの送信テスト1件送り、受信できるか、自動返信の文面が正しいか試しの予約を店のメールで受信できるか。確認後に消す
閲覧制限ログインなしで、見せない相手から見えないか料金表の試作がログインなしで開けないか
載せた内容実在の顧客名、個人の連絡先、社内の数字、日付や金額の誤りがないか臨時休業の日付と曜日が合っているか

確認項目の一覧づくりは AIエージェントに任せてかまいません。料金表の金額は、AIエージェントの報告ではなく、元の価格表と照合してください。

関連:『法律とガイドライン』

公開のやめ方

公開する前に、やめる日とやめ方を日付で決めてください。

キャンペーンのお知らせなら終了日の翌日、取引先向けの試作なら打ち合わせの翌週、のように決めます。どのやめ方でも残るものがあるため、「消せば元どおり」とは考えず、公開前の確認に時間を使ってください。

やめる操作消えるもの残るもの
公開先のサービスでプロジェクトを削除する公開したページ、ドメインの設定、環境変数置き場所のリポジトリ。扱いを別に決める
GitHub のリポジトリを公開から非公開に戻す外部からの閲覧すでに他人が作った複製。公開のまま切り離される
共有リンクを止めるそのリンクからの閲覧他人が取ったコピーやスクリーンショット
外部サービスとの連携を取り消す以後のアクセス権相手のサービスに保存済みのデータ

やめる日が来たら、まず公開先のサービスで公開を止め、同じ日に、使わなくなったAPIキーの無効化、連携の解除、試したサービスの解約を済ませてください。

使っていないAPIキーでも、漏れれば他人に使われ、その利用料が自社に請求されるためです。削除のような戻せない操作は、AIエージェントに任せず、画面で確かめて人が行ってください。

2026年9月時点の仕様

ChatGPT でページを作って公開する機能の Sites では、削除したページは復元できません。公開を止めるだけなら、削除せずに共有範囲を絞る方法があります。

関連:『現時点の仕様』の『ChatGPT、Codex』

確認する項目の分担

公開前の確認は、経営者が自分で確かめる項目と、制作会社や詳しい人に確認する技術的な項目に分けてください。

技術的な項目は、設定作業ごと詳しい人に頼んでかまいません。一覧をそのまま見せ、できているかを答えてもらってください。

経営者が自分で確かめる項目

  • 見せる相手と、公開をやめる日を決めてあるか
  • 公開の操作を、AIエージェントではなく人が行う手順になっているか
  • AIを提供する会社の管理画面で、費用の通知と、利用が止まる上限の両方を設定してあるか
  • 利用量と請求を定期的に見ているか。急に増えたら、先にAPIキーを無効にしてから原因を調べる
  • AIに答えさせてはいけない内容と、人に引き継ぐ条件を決めてあるか

制作会社や詳しい人に確認する項目

  • APIキーとパスワードを、公開されるファイルに書かず、公開先のサービスの環境変数に登録しているか
  • 作業用のPCでは、APIキーを .env に置き、.env を GitHub へ送るファイルの対象から外しているか
  • AIを呼び出す処理をサーバー側で動かし、ブラウザで読み込まれるファイルにAPIキーを渡していないか
  • 同じ相手からの連続した呼び出しを制限するレート制限を、自社のページの側に付けているか
  • 訪問者の入力に紛れ込ませた指示でAIの動きを変えるプロンプトインジェクションを前提に、AIに答えさせる範囲を設定しているか
  • push を AIエージェントに任せず、人の承認に残しているか
  • リポジトリだけでなく、公開先のサービスでも閲覧制限を設定しているか
  • リポジトリと公開先のサービスの両方で、2段階認証を有効にしているか。公開に使うアカウントが乗っ取られると、公開中のページを書き換えられるためです

関連:『事故の初動』

まとめ

  • 公開したいページごとに、見せる相手とやめる日を決めてください。
  • 『確認する項目の分担』の技術的な項目を制作会社や詳しい人に見せ、できているかを答えてもらってください。
  • 公開したら、ログインしていない別のブラウザかスマホで、『公開直後の確認』の5つを確かめてください。

よくある質問

ページづくりと公開を制作会社に頼んでいる場合、経営者は何をすればよいですか
経営者が決めるのは、見せる相手、公開をやめる日、AIに答えさせてはいけない内容の3つです。環境変数や閲覧制限などの設定作業は、制作会社に任せてかまいません。本文の『確認する項目の分担』にある技術的な項目を見せ、できているかを答えてもらってください。公開直後の表示やフォームの確認は、制作会社の報告を待たずに、経営者や使う人も別のブラウザで行ってください。
取引先にどうしてもリンクで見せる必要がある場合は、どうすればよいですか
実データを入れない試作にし、公開をやめる日を先に決めてください。リンクは転送で広がるため、見られて困る取引条件や顧客情報は載せないでください。取引条件まで見せる必要があるなら、ログインした関係者だけが見られる閲覧制限に切り替えるよう、制作会社や詳しい人に頼んでください。
AIが答える機能を付けたページの費用は、何で決まりますか
訪問者の操作1回ごとに、公開した側のAPIキーで費用が発生します。訪問者の数と操作の回数で費用が変わるため、公開前に、AIを提供する会社の管理画面で費用の通知と利用が止まる上限を設定してください。公開先のサービスの無料の個人向けの契約プランには、非商用に限る条件のものがあります。店の宣伝に使う前に、利用条件を確かめてください。

「うちの場合はどこから始めるか」を一緒に整理します

本ガイドは、個人事業主や中小企業が、AIを業務に使うための考え方をまとめたものです。読んで「自社の業務ではどうなるのか」と思った方は、お問い合わせフォームから、今の業務と困りごとを教えてください。

出典

仕様を確認した日は2026年9月25日です。記載内容は、その時点の公式情報に基づいています。ツールやサービスの仕様は変わるため、迷ったときは現時点の仕様と各提供元の公式ページを確認してください。

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