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著者 ハルオ(プロフィール)公開日 2026年10月10日最終更新 2026年10月13日

プロンプト設計の型

第2部 各論(8ページ中1ページ目)

「AIに頼むたびに頼み方をその場で考えていて、生成物の出来が毎回ばらつく」

このページでは、『変わらない5つの問い』で決めたことを、狙った生成物が出やすいプロンプト(AIへの指示)にするための書き方の型を、見積書や問い合わせ返信の例で紹介します。

結論
  • プロンプト設計の型は、狙った生成物が出やすくなる書き方の参考です。毎回すべてを使う必要はありません。
  • まずは短く頼み、生成物が狙いから外れたところに合う型を1つ足してください。
  • 何を書けばよいか分からないときは、AIに選択肢を出してもらってください。
  • Web検索を使うAIでも、制度や料金の根拠は一次情報で確かめさせてください。

このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。

業務でどう使うか

使いどころ
  • 問い合わせの返信案が長すぎたり硬すぎたりしたとき、出力の形を指定して頼み直す
  • SNS投稿の下書きを作りたいが何を書けばよいか分からないとき、選択肢を出してもらう
  • 請求書の書き方や制度を調べさせるとき、確認済みの内容と推測を分けて書かせる
避けたい使い方
  • すべての型を埋めた長いプロンプトを、毎回一から書く
  • AIの「公式の情報を確認しました」という報告を、出典を開かずに信じる
  • 同じ問題の直しを、同じセッションで何度も頼み続ける

型の選び方

型は、生成物のずれ方に合わせて選びます。最初から全部を書かず、ずれが出たところに合う型だけを足してください。一度に多くの条件を足すと、どの条件が効いたのかが分かりにくくなります。

型使う場面関連する問い
出力の形を指定する長すぎる、専門用語が多い、形式が違うゴール
選択肢を出してもらう何を頼めばよいか、自分でも決まっていないゴール
仮定を書いて進めさせる確認の質問が多く、作業が進まないコンテキスト
根拠を一次情報で確かめさせる制度、料金、製品の仕様を扱う検証
小さく試し、打ち切りを決める同じ直しを繰り返している検証

関連:『変わらない5つの問い』

型ごとの書き方

型ごとに、効く理由とプロンプト例を示します。

出力の形を指定する

AIモデルは、形式や長さを指定されないと、一般的な形で返します。読み手、長さ、形式、案の数を書くと、あとで読み手に合わせて直す手間が減ります。質問を1つずつ出させると、長い生成物の中で次に何を答えるべきかを見失いません。

プロンプト例

請求書の送付メールの文面を2案作ってください。読むのは取引先の経理の方です。それぞれ5行以内で、支払期日と金額は箇条書きにしてください。確認したいことがあれば1つずつ質問し、こちらが答えるまで進めないでください。

選択肢を出してもらう

人は、何もない状態から要望を言葉にするのが難しいことがあります。AIモデルは、あいまいな依頼を推測で補って作り始めます。「〜したいが、何を書けばよいか分からない」ときは、作る前にAIに選択肢を出してもらい、選んでから作らせてください。選択肢に無いものは、自分の言葉で書き足してかまいません。

プロンプト例

来月のSNS投稿の下書きを作りたいのですが、何を書けばよいか決まっていません。作る前に、投稿のテーマの候補を5つ、1行ずつの選択肢で出してください。こちらが選んでから下書きを作ってください。

仮定を書いて進めさせる

確認の質問が多すぎると、作業が進みません。質問しなくてよい点は「仮定」として1行で書き、先に進むよう頼みます。仮定が書いてあれば、生成物を読むときに前提の誤りを見つけられます。

プロンプト例

在庫表を整理してください。単位が書かれていない行は「仮定:個数」と書いて進めてください。仕入れ先に確認が必要な項目は、最後に確認リストとしてまとめてください。

根拠を一次情報で確かめさせる

AIモデルは、学習した時点より新しい情報を知りません。Web検索を使って答えるAIでも、見つけたページに書かれていないことを補い、もっともらしく断定することがあります。制度、料金、製品の仕様を扱うときは、発行元の公式の案内を確認させ、根拠ごとに確かめ方を書き分けさせてください。

プロンプト例

請求書に書く登録番号の書式を、国税庁の公式の案内で確認してください。根拠ごとに「一次情報で確認済み」「推測」「未確認」のどれかを付け、確認したページのURLを添えてください。

AIが「公式の情報を確認しました」と書いても、実際にそのページを読んだとは限りません。出典のURLがその内容を書いているかは、使う人が開いて確かめてください。AIの出力がハルシネーションを含みうることは、AIを提供する会社に共通する注意書きです。

小さく試し、打ち切りを決める

大きな作業を一度に頼むと、誤りに気づいたときの直しも大きくなります。先に一部だけで試させ、うまくいったら全体に広げてください。同じ問題の直しには、回数の上限を決めておきます。

プロンプト例

商品一覧の表の整理は、まず先頭10行を複製したファイルで試してください。うまくいったら全体に進めてください。同じ問題が2回直して直らなければ、作業を止めて別の方法の案を出してください。

Anthropic の公式ドキュメントは、Claude Code(Anthropic 社が提供するAIエージェント)で同じ問題を2回以上直しても直らないなら、/clear で履歴を消して始め直すよう勧めています。コンテキストが失敗の記録で埋まっているためです。ChatGPT のようなチャットで使うAIでは、新しいチャットを始めて頼み直すことが同じ操作にあたります。

始め直すプロンプトには、過去のやりとりを指す言葉を入れず、うまくいかなかった原因と守る条件だけを書きます。

プロンプト例

見積書の合計を作ってください。税率は10%で、1円未満は切り捨てです。小計、消費税、合計を別の行に書き、合計は税込で表示してください。

実務でのポイント

「2回」という回数は、2026年9月時点のAIモデルの傾向に合わせた目安です。打ち切りの条件を先に決めるという考え方は、AIモデルが変わっても使えます。社内に伝えるときは、回数と考え方を分けて伝えてください。

型を組み合わせたプロンプト

型を足していくと、短い依頼が1本のプロンプトになります。見積書の例で、足す前と足した後を並べます。

プロンプト例

A社向けの見積書を作ってください。

型を足した後のプロンプトです。

プロンプト例

A社向けの見積書を作ってください。読むのはA社の総務の方で、表で1案にしてください。作る前に、値引きの有無と納期の候補を選択肢で出してください。数量が分からない行は「仮定:1式」と書いて進めてください。単価は共有フォルダの価格表で確認し、見つからない単価は「未確認」と書いてください。まず先頭3行だけ作って見せてください。PDFを作るところまでをお願いします。金額の最終確認と送信はこちらで行います。

読み手や形式のように、どの案件でも同じになる部分は、毎回書かずにチャットのプロジェクト設定や CLAUDE.md に移せます。プロンプトに毎回書くと、書き忘れた回だけ条件が抜けるためです。

関連:『AIに渡すコンテキスト』

まとめ

  • プロンプト設計の型は、狙った生成物が出やすくなる書き方の参考です。毎回すべてを使う必要はありません。
  • 生成物がずれたところに合わせて、型を1つずつ足してください。
  • 何を書けばよいか分からないときは、AIに選択肢を出してもらってください。
  • 制度や料金の根拠は一次情報で確かめさせ、出典は使う人が開いて確かめてください。
  • 同じ問題を2回直しても直らなければ、履歴を消し、原因と条件を書いたプロンプトで始め直してください。

よくある質問

型を、毎回すべてプロンプトに書く必要がありますか?
いいえ。型は、狙った生成物が出やすくなる書き方の参考です。まずは短く頼み、生成物が狙いから外れたところに合う型を1つ足してください。どの案件でも同じになる部分は、チャットのプロジェクト設定や CLAUDE.md に書いておくと、毎回のプロンプトはその案件に固有の情報だけで済みます。
ChatGPT のようにチャットで使うAIでも、型は使えますか?
はい。このページの型は、チャットで使うAIにも AIエージェントにも同じように使えます。チャットで使うAIでは、打ち切ったあとに始め直す操作が、新しいチャットを始めて頼み直すことにあたります。
「同じ問題の直しは2回まで」は、どこから来た数字ですか?
Anthropic の公式ドキュメントのベストプラクティスに基づく目安です。Anthropic の公式ドキュメントは、Claude Code で同じ問題を2回以上直しても直らないなら、コンテキストが失敗の記録で埋まっているので、/clear で履歴を消し、学んだことを盛り込んだ具体的なプロンプトで始め直すよう勧めています。別々の箇所の直しを重ねて生成物を仕上げることは、この上限の対象ではありません。

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