「AIに頼むたびに頼み方をその場で考えていて、生成物の出来が毎回ばらつく」
このページでは、『変わらない5つの問い』で決めたことを、狙った生成物が出やすいプロンプト(AIへの指示)にするための書き方の型を、見積書や問い合わせ返信の例で紹介します。
- プロンプト設計の型は、狙った生成物が出やすくなる書き方の参考です。毎回すべてを使う必要はありません。
- まずは短く頼み、生成物が狙いから外れたところに合う型を1つ足してください。
- 何を書けばよいか分からないときは、AIに選択肢を出してもらってください。
- Web検索を使うAIでも、制度や料金の根拠は一次情報で確かめさせてください。
このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。
業務でどう使うか
- 問い合わせの返信案が長すぎたり硬すぎたりしたとき、出力の形を指定して頼み直す
- SNS投稿の下書きを作りたいが何を書けばよいか分からないとき、選択肢を出してもらう
- 請求書の書き方や制度を調べさせるとき、確認済みの内容と推測を分けて書かせる
- すべての型を埋めた長いプロンプトを、毎回一から書く
- AIの「公式の情報を確認しました」という報告を、出典を開かずに信じる
- 同じ問題の直しを、同じセッションで何度も頼み続ける
型の選び方
型は、生成物のずれ方に合わせて選びます。最初から全部を書かず、ずれが出たところに合う型だけを足してください。一度に多くの条件を足すと、どの条件が効いたのかが分かりにくくなります。
| 型 | 使う場面 | 関連する問い |
|---|---|---|
| 出力の形を指定する | 長すぎる、専門用語が多い、形式が違う | ゴール |
| 選択肢を出してもらう | 何を頼めばよいか、自分でも決まっていない | ゴール |
| 仮定を書いて進めさせる | 確認の質問が多く、作業が進まない | コンテキスト |
| 根拠を一次情報で確かめさせる | 制度、料金、製品の仕様を扱う | 検証 |
| 小さく試し、打ち切りを決める | 同じ直しを繰り返している | 検証 |
関連:『変わらない5つの問い』
型ごとの書き方
型ごとに、効く理由とプロンプト例を示します。
出力の形を指定する
AIモデルは、形式や長さを指定されないと、一般的な形で返します。読み手、長さ、形式、案の数を書くと、あとで読み手に合わせて直す手間が減ります。質問を1つずつ出させると、長い生成物の中で次に何を答えるべきかを見失いません。
請求書の送付メールの文面を2案作ってください。読むのは取引先の経理の方です。それぞれ5行以内で、支払期日と金額は箇条書きにしてください。確認したいことがあれば1つずつ質問し、こちらが答えるまで進めないでください。
選択肢を出してもらう
人は、何もない状態から要望を言葉にするのが難しいことがあります。AIモデルは、あいまいな依頼を推測で補って作り始めます。「〜したいが、何を書けばよいか分からない」ときは、作る前にAIに選択肢を出してもらい、選んでから作らせてください。選択肢に無いものは、自分の言葉で書き足してかまいません。
来月のSNS投稿の下書きを作りたいのですが、何を書けばよいか決まっていません。作る前に、投稿のテーマの候補を5つ、1行ずつの選択肢で出してください。こちらが選んでから下書きを作ってください。
仮定を書いて進めさせる
確認の質問が多すぎると、作業が進みません。質問しなくてよい点は「仮定」として1行で書き、先に進むよう頼みます。仮定が書いてあれば、生成物を読むときに前提の誤りを見つけられます。
在庫表を整理してください。単位が書かれていない行は「仮定:個数」と書いて進めてください。仕入れ先に確認が必要な項目は、最後に確認リストとしてまとめてください。
根拠を一次情報で確かめさせる
AIモデルは、学習した時点より新しい情報を知りません。Web検索を使って答えるAIでも、見つけたページに書かれていないことを補い、もっともらしく断定することがあります。制度、料金、製品の仕様を扱うときは、発行元の公式の案内を確認させ、根拠ごとに確かめ方を書き分けさせてください。
請求書に書く登録番号の書式を、国税庁の公式の案内で確認してください。根拠ごとに「一次情報で確認済み」「推測」「未確認」のどれかを付け、確認したページのURLを添えてください。
AIが「公式の情報を確認しました」と書いても、実際にそのページを読んだとは限りません。出典のURLがその内容を書いているかは、使う人が開いて確かめてください。AIの出力がハルシネーションを含みうることは、AIを提供する会社に共通する注意書きです。
小さく試し、打ち切りを決める
大きな作業を一度に頼むと、誤りに気づいたときの直しも大きくなります。先に一部だけで試させ、うまくいったら全体に広げてください。同じ問題の直しには、回数の上限を決めておきます。
商品一覧の表の整理は、まず先頭10行を複製したファイルで試してください。うまくいったら全体に進めてください。同じ問題が2回直して直らなければ、作業を止めて別の方法の案を出してください。
Anthropic の公式ドキュメントは、Claude Code(Anthropic 社が提供するAIエージェント)で同じ問題を2回以上直しても直らないなら、/clear で履歴を消して始め直すよう勧めています。コンテキストが失敗の記録で埋まっているためです。ChatGPT のようなチャットで使うAIでは、新しいチャットを始めて頼み直すことが同じ操作にあたります。
始め直すプロンプトには、過去のやりとりを指す言葉を入れず、うまくいかなかった原因と守る条件だけを書きます。
見積書の合計を作ってください。税率は10%で、1円未満は切り捨てです。小計、消費税、合計を別の行に書き、合計は税込で表示してください。
「2回」という回数は、2026年9月時点のAIモデルの傾向に合わせた目安です。打ち切りの条件を先に決めるという考え方は、AIモデルが変わっても使えます。社内に伝えるときは、回数と考え方を分けて伝えてください。
型を組み合わせたプロンプト
型を足していくと、短い依頼が1本のプロンプトになります。見積書の例で、足す前と足した後を並べます。
A社向けの見積書を作ってください。
型を足した後のプロンプトです。
A社向けの見積書を作ってください。読むのはA社の総務の方で、表で1案にしてください。作る前に、値引きの有無と納期の候補を選択肢で出してください。数量が分からない行は「仮定:1式」と書いて進めてください。単価は共有フォルダの価格表で確認し、見つからない単価は「未確認」と書いてください。まず先頭3行だけ作って見せてください。PDFを作るところまでをお願いします。金額の最終確認と送信はこちらで行います。
読み手や形式のように、どの案件でも同じになる部分は、毎回書かずにチャットのプロジェクト設定や CLAUDE.md に移せます。プロンプトに毎回書くと、書き忘れた回だけ条件が抜けるためです。
まとめ
- プロンプト設計の型は、狙った生成物が出やすくなる書き方の参考です。毎回すべてを使う必要はありません。
- 生成物がずれたところに合わせて、型を1つずつ足してください。
- 何を書けばよいか分からないときは、AIに選択肢を出してもらってください。
- 制度や料金の根拠は一次情報で確かめさせ、出典は使う人が開いて確かめてください。
- 同じ問題を2回直しても直らなければ、履歴を消し、原因と条件を書いたプロンプトで始め直してください。