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著者 ハルオ(プロフィール)公開日 2026年10月13日

不正アクセスへの備え

第2部 各論(8ページ中7ページ目)

「AIのアカウントやWebサイトに、知らない人がログインしていないかが不安だ」

他人のIDとパスワードを使って、その人のアカウントに勝手にログインすることは、不正アクセスの1つです。このページでは、AIを業務に使うと増えるアカウントとWebサイトを不正アクセスから守るために、ログインの守り方、偽のメールへの対応、不正なログインの確認、Webサイトの管理画面の守り方を説明します。

結論
  • AIのアカウント、AIエージェントに接続したサービス、Webサイトの管理画面は、1つに不正にログインされると、つながった先まで操作されるおそれがあります。
  • パスワードは長く複雑にしてサービスごとに変え、2段階認証を設定します。パスキー(指紋や顔の認証などでログインする方式)が使えるサービスでは、IPA はパスキーの利用を勧めています。
  • 疑わしいメールやSMSのリンクからはログインせず、公式サイトや公式アプリから確かめます。
  • ログインの履歴と通知、APIキー、接続の一覧、登録情報を定期的に見て、身に覚えのないものに早く気づけるようにします。

このページで出てくる言葉の意味は用語一覧で確認できます。

業務でどう使うか

使いどころ
  • AIエージェントにメールや共有フォルダを接続する前に、AIのアカウントと、接続するサービスのアカウントに2段階認証を設定する
  • 月に1回を目安に、AIのアカウントのログインの履歴と、APIキーの利用量を見る
  • AIエージェントにWebサイトの修正を任せる前に、管理画面に使っていないアカウントがないかを確かめる
避けたい使い方
  • AIのアカウントに、ほかのサービスと同じパスワードを使う
  • 1つのAIのアカウントを、社内の複数の人で使い回す
  • メールのリンクから開いたログインの画面に、そのままパスワードを入力する

守るアカウントの一覧

AIを業務に使うと、不正なログインから守るアカウントが増えます。

AIのアカウントに不正にログインされると、不正にログインした人は、チャットの履歴を読み、AIエージェントに接続したサービスを操作できるおそれがあります。接続したアカウントが多いほど、1つのパスワードが漏れたときの影響は広がります。まず、守るアカウントを書き出してください。

アカウント不正にログインされたときに起きること
AIのアカウント(Claude や ChatGPT など)チャットの履歴を読まれる。共有リンクを作られる
APIの管理画面(APIキーを作る画面)新しいAPIキーを作られ、その利用料が自社に請求される
AIエージェントに接続したサービスメール、共有フォルダ、会計ソフトのデータを読まれる。メールを送られる
Webサイトの管理画面ページを書き換えられる。偽のページを置かれる
ログインに使うメールのアカウント届いた再設定のメールで、ほかのアカウントのパスワードを変えられる

ログインに使うメールのアカウントは、パスワードの再設定の連絡先になるため、ほかのアカウントより先に守ってください。

ログインの守り方

パスワードは長く複雑にしてサービスごとに変え、2段階認証を設定してください。

IPA(情報処理推進機構)は、パスワードをできるだけ長く、複雑にし、使い回さないことを勧めています。使い回すと、1つのサービスから漏れたパスワードで、ほかのサービスにもログインされるためです。

IPA は、パスワードとは別の手段でも本人を確かめる多要素認証を設定していれば、IDとパスワードを不正に使われても、それだけではログインできないとしています。本ガイドでは、この設定を2段階認証と呼びます。

本ガイドは、AIのアカウントを使う人ごとに別々に作り、それぞれに2段階認証を設定することを勧めます。ログインの履歴で、誰が使ったかを区別できるためです。

IPA は2025年8月28日の注意喚起で、パスワードに代わるログインの方法として、パスキーの利用を勧めています。パスキーは、指紋や顔の認証、PCやスマホのロックの解除でログインする方式です。使えるかどうかはサービスごとに違うため、各サービスのヘルプで確かめてください。

サービスごとに違うパスワードは覚えきれません。総務省は、パスワード管理ツールを使うことも勧めています。

関連:『安全の原則』

偽のメールと偽のログイン画面

疑わしいメールやSMSのリンクからはログインせず、公式サイトや公式アプリから確かめてください。

実在のサービスを名乗る偽のメールやSMSで偽のWebサイトに誘い、IDとパスワードを盗む手口を、フィッシングと呼びます。IPA は同じ注意喚起で、メールやSMSを開いただけでは被害はなく、偽のWebサイトでIDやパスワードを入力すると、アカウントに不正にログインされることがあるとしています。本物か迷ったときは、メールやSMSの中のURLや電話番号を使わず、公式サイトや公式アプリで確かめることを勧めています。

AIのサービスを名乗るメールも同じです。「利用料の支払いに失敗しました」「アカウントを停止します」と急がせる内容でも、メールのリンクからは開かず、公式サイトや公式アプリからログインして確かめてください。

偽のWebサイトに入力してしまったら、公式サイトや公式アプリからログインし、すぐにそのサービスのパスワードを変えてください。同じパスワードをほかのサービスで使っていれば、そちらも変えます。

不正なログインの確認

ログインの履歴と通知、APIキー、接続の一覧、登録情報を定期的に見てください。

富山県警察は、ログインの履歴とログインの通知メールを定期的に確かめ、身に覚えのない通知が届いたらすぐにパスワードを変えるよう呼びかけています。履歴や通知の機能があるかはサービスごとに違うため、各サービスのヘルプで確かめてください。

見るもの身に覚えのないものの例
ログインの履歴と通知使っていない時間や端末からのログイン
APIキーの一覧と利用量作った覚えのないAPIキー、使っていない日の利用
接続の一覧許可した覚えのないサービスやアプリの接続
アカウントの登録情報自分のものではないメールアドレスや電話番号

月に1回を目安に、日を決めて見ると、見落としを減らせます。身に覚えのないものが見つかったら、『事故の初動』の手順に進んでください。

関連:『外部サービスとの接続』

関連:『従量課金のAI』

関連:『事故の初動』

Webサイトの守り方

Webサイトは、使っていないアカウントを消し、ソフトウェアを更新し、記録を定期的に見てください。

管理画面や、ファイルを上げる接続(FTPなど)のアカウントをAIエージェントに渡すと、AIエージェントもそのアカウントを使います。IPA の20ヶ条のうち、自社で確かめやすい項目は次のとおりです。

確かめること20ヶ条の関連する項目(番号)
辞めた人や使っていない外部の人のアカウントが、管理画面に残っていないか不要なアカウント(11)
管理画面のパスワードが、推測されやすいものになっていないか推測されやすい単純なパスワード(12)
管理画面に、不正なログインを防いだり気づいたりする対策をしているか不正ログインの対策(8)
Webサイトを動かすソフトウェアを更新しているかソフトウェアの脆弱性対策(4)
アクセスの記録を残し、定期的に見ているかログの保管と定期的な確認(6、14)

この表は、本ガイドが20ヶ条から項目を選び、確かめることの形にしたもので、各項目の中身は20ヶ条に基づきます。管理画面に2段階認証を設定できるときは、本ガイドは設定を勧めます。パスワードを不正に使われても、それだけではログインできないためです。

サーバーのOSやソフトウェアの更新(20ヶ条の9)のように、自社で確かめにくい項目は、Webサイトの制作や管理を頼んでいる会社に確かめてください。

出典:IPA「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」

関連:『公開前の確認』

まとめ

  • AIのアカウント、接続したサービス、Webサイトの管理画面、ログインに使うメールのアカウントを書き出してください。
  • パスワードは長く複雑にしてサービスごとに変え、2段階認証を設定します。パスキーが使えるサービスでは、IPA はパスキーの利用を勧めています。
  • 疑わしいメールやSMSのリンクからはログインせず、公式サイトや公式アプリから確かめます。
  • ログインの履歴と通知、APIキー、接続の一覧、登録情報を、月に1回を目安に見てください。
  • Webサイトは、使っていないアカウントを消し、ソフトウェアを更新し、記録を定期的に見てください。

よくある質問

2段階認証を設定していれば、パスワードは短くてもよいですか?
いいえ。IPA は、長く複雑で使い回さないパスワードと、2段階認証の設定の両方を勧めています。2段階認証があれば、パスワードを不正に使われても、それだけではログインできません。一方で、短く単純なパスワードは推測されやすいと、富山県警察は呼びかけています。
パスワードを専用のノートに書いて管理してもよいですか?
富山県警察は、パスワードを管理する方法の1つとして、管理専用のノートを作ることを挙げ、他人に知られないように管理するよう呼びかけています。ノートを他人に見られると、書いたパスワードでログインされるため、他人の目に触れない場所に保管することを勧めます。総務省は、パスワード管理ツールを使うことも勧めています。
身に覚えのないログインの通知が届いたら、何をすればよいですか?
通知のメールのリンクからではなく、公式サイトや公式アプリからログインし、すぐにパスワードを変えてください。通知そのものが偽のメールで、リンクの先が偽のWebサイトのこともあるためです。その後の進め方は『事故の初動』で説明しています。

「うちの場合はどこから始めるか」を一緒に整理します

本ガイドは、個人事業主や中小企業が、AIを業務に使うための考え方をまとめたものです。読んで「自社の業務ではどうなるのか」と思った方は、お問い合わせフォームから、今の業務と困りごとを教えてください。

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